シータ波が貢献する

割り込み後の行動プランの想起にはシータ波が貢献する
要旨
保坂亮介、 渡辺秀典、 中島敏、 虫明元 2021年 cerebral cortex communicationsvol.2
ある行動目標を達成しようとしている時に、外部からの割り込みが入ることは日 常よく経験することである。 通常は割り込み後に、 再びやりかけの行動計画を思い 出しきちんと目標を達成することができる。 しかしこの神経機構はまだ良く理解され ていない。
そこで私たちは、 割り込みを含む課題を霊長類 (サル)に訓練して、 実行に係る運 動前野から局所磁場電位(LFP) を記録した。 そして割り込み前後で運動計画の維持 と想起が、霊長類の背側運動前野のベータ波とシータ波にどのような変化に反映さ れるか解明した。
すると特に、運動計画の実行には、 直前のベータ振動 (10-30Hz)の増強が関与す ることがわかった。 一方で割り込み後の想起に成功した試行ではシータ振動 (4- 10Hz) のパワーが、 割り込み前と最中に増加していた。 さらに割り込み前にシータ波 が増強されない試行では、行動計画の想起に障害が生じた。 運動皮質のシータ振 動は、行動の中断に伴う運動計画の橋渡し(記銘と想起)に貢献している可能性が 示唆された。

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